ドロ痛な恋が甘すぎて

 綾星くん、顔が真っ赤だよ。
 

 高校生らしいちょっと初々しい綾星くんにキュン。

 かわいすぎ。


 私の心にちょっとだけ、2歳年上の余裕が湧いてきた。

 と思ったのに……



 ダメだよ綾星くん。

 そのテレ顔は反則だよ。

 
 お互いベッドの上。

 横になったまま。

 堪えられないように真っ赤になった顔を手のひらで隠してる綾星くんを見ていたら、恥ずかしさがぶり返してきちゃった。

 とりあえず何かしゃべらなきゃ。

 たどたどしい声を、なんとか喉から吐き出す。

「もしかして寝ちゃった? 私……あのあと……」


「ああ」


「ベッドまで運んでくれたの……?」


 今度は返事が聞こえてこない。

 逸らしていた瞳を綾星くんに向けると、彼は小さく頷いている。

 そして頬を真っ赤に染めた綾星くんが、ゆっくりと私に視線を絡めてきた。


「もっと見ていたかったのに」


「え?」


「ほのかの寝顔」


 ふぇっ??
 
 私の寝顔??


「変な顔じゃ……なかった?」


「すげー可愛いかった」


 ひょえ!!

 か……かかか……可愛かった??


「脳内スクショして、永久保存しときたかった」


 恥ずかしさを必死で隠しているような、綾星くんのハニカミ笑顔。

 私のハートが簡単に捕まってしまう。


 綾星くん、いろんな顔を私に見せすぎ。

 悪魔だったり、レイジ君並みのドロ甘だったり。

 アイドル。 

 貴公子。 

 やんちゃな子供。

 そして等身大の高校生。


 クルクル変わる表情に、私のハートがわしづかみにされちゃうんだから。

 心臓のバクバクが隠せないまま、私は綾星くんに微笑んだ。
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