ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
 ヘッドフォンから私の脳に届く歌。

 しっとりとしたバラードから跳ねるような軽快な曲に切り替わると
 同時に、ゆっくりと開いたドア。



 見上げると、さっきと変わらない穏やかな笑顔が目の前に咲いている。



 
「もういいよ」


「え?」


「帰ったから、あの二人」



 涙がとまらないまま、動けなくなった私。


 なぜか優しい瞳で、私を見つめている店員さん。




「ねえ、俺のこと知ってる?」


「お弁当を買いに来た時に……」


「それ以外は?」



 首をかしげながら、私の記憶を呼び戻す。
 
 このお店以外で会ったことなんてないと思う。



 視線を外したまま首を横に振る私に、大きな瞳がなくなるほどとびきりの笑顔を見せた店員さん。

 大人っぽい笑顔があまりにも麗しくて、つい見とれてしまう。
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