ドロ痛な恋が甘すぎて
春輝の心の闇


 【春輝と綾星のおまけストーリー】



☆綾星side☆


 アミュレットのライブの朝。

 いつものように一番乗りでスタジオに入り、ストレッチを始めた俺。


「あやあや、おっはよ~」


 朝からそのハイテンションで大丈夫なのか?

 ライブ中に疲れたからって、俺の体力を吸い取るなよ。

 そう突っ込みたくなるほど元気いっぱいの春輝(はるき)が、スタジオに入ってきた。


「春、めずらしいじゃん。こんな早く来るなんて」


「だって、あやあやの恋バナ聞きたいんだもん」


 床に座り足を広げ、頭を床につけるように柔軟をしている俺の背中に、飛び乗ってきた春輝。


 いきなりって。

 幼稚園児かよ。

 筋、痛てぇ。


「それでそれで?ほののんとは、うまくやってるわけ?」


「ああ」


「ほののんがお仕事が終わったら、あやあやの部屋で二人だけなんでしょ?何してるのかなぁ?」


「別に、春には教える気ないし」


「いいじゃん教えてよ、恋のキューピットなんだよ僕は」


 春輝は吸血鬼の末裔なのか?

 こいつと話しているだけで、俺の体力がどんどん吸い取られているんですけど。

 
 ライブ前にやめてくれって思う。

 でも……

 こいつに伝えておきたいことがある。


「春にはスゲー感謝してる」


 だって春輝がほのかのポストに握手券を入れなかったら、ほのかとの縁は切れていただろうから。

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