ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
シャープな顔のラインに、存在感のあるスーっと通った鼻筋。
色気を含んで膨らんでいるような、少し厚めの唇。
柔らかいウエーブのかかった長めの前髪から覗く、漆黒の瞳。
魔力を秘めているような瞳に吸い込まれたまま、なぜか私の瞳が逸らせられない。
わかる。
この店員さんがお弁当屋さんの前で、いつもたくさんの女の子たちに
囲まれている理由が、はっきりと。
優雅で余裕を纏った大人な雰囲気。
安心感を与えてくれる笑顔。
きっと困った人を見ると、手を差し伸べずにはいられない優しい人。
だから私のことも助けてくれたんだろうな。
そんな思いに浸っていると、店員さんの穏やかな瞳が何の前触れもなく妖艶に輝きだした。
だんだんと吊り上がっていく目尻と口角。
ニヤリと悪味を含んだ口元に、さっきまでの優しさは皆無。
そして命令ともとれる声が私の耳に鋭く刺さった。
「ついて来て!」
え?
この低い声……店員さんの?
いきなり見せた高圧的な態度。
さっきまで好感度100%の微笑みを向けてくれていたのに。
この変わりよう、どうしちゃったの?
悪魔に憑りつかれたような急変貌に、私の脳みそがついていけない。