ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
相変わらずの雅のへたれ具合に安心して、鼻から笑いが漏れた。
「なに? 綾星?」
「別に」
いじりがいがあるとこ、変わんねえなって笑えてきただけだよ。
「今、俺見て吹き出したじゃん」
「だからなんでもないって」
「絶対なんか思ったでしょ?」
「タオルの話の次は、明梨ちゃんが握手会に来てくれた話すんのかなって思ってさ」
「握手会……」
雅の脳に引っかかってくれた、握手会というキーワード。
俺に向かって口も目も尖らせていた雅の顔が、急にゆるるんとほどけた。
ほんと単純な奴。
明梨ちゃんって名前を聞いただけでだらしない顔になるの、やめてくんない?
突っ込みどころが満載すぎで、笑いが堪えられなくなるから。
男のくせにかわいい奴だなと思えて、俺の目じりも緩む。
雅の目じりは幸せの重りでもついてんじゃないかって程、俺以上に垂れ下がっていてるけど。