ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

「あやあや、どうしちゃった? 楽屋に戻らないの?」


 はっと我に返り、ウサギ並みにうるるんとした真ん丸な瞳と目が合った。

 そういえばさっき、ライブ前の最終リハが終わったんだった。

 ステージ袖でパイプ椅子に座っていた俺に話しかけてきたのは、メンバーの春輝(はるき)。


「春かよ。どうもしてねえよ」


 誤魔化すようにぶっきらぼうに答える。

 でも能天気な春輝は、お構いなしのにんまり笑顔。
 

明梨(あかり)ん大丈夫かな?」

 と言いながら、台本片手にブツブツつぶやいている明梨ちゃんに目を向けている。

 ほのかのことばっかり考えていて、明梨ちゃんのことを忘れてた。

 アミュレットのリーダー失格だな、俺は。



 (みやび)の彼女の明梨ちゃんが、俺たちの専属司会者として戻ってきた。

 今日が復帰ライブの初日。


 ま、1か月前の学園祭ライブで司会をしてくれた時も、文句をつけるところがないくらい俺たちをゾクゾクさせる司会をしたし。

 母親に似たのか、度胸は半端ないもん持ってるし。

 俺は心配なんてこれっぽっちもしてないけど。
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