ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

「ほのかって呼んでたよね、あやあや」


 はぁぁぁ、会話まで聞かれてるし。

 どれだけ近くに隠れてたんだ。

 忍びか? どこの里の忍者だよ。


「あぁ~、もうわかったから。これ以上言うなって」


「好きなんでしょ? ほののんのこと」


 すでにあだ名つけてる。

 でも……

 珍しい春輝の表情に、ドキリと胸が鳴った。

 こいつ、俺のことを本気で心配しているっぽい。


 透明感のある瞳が穏やかすぎて、いつもと違って冷静で大人っぽい表情で。

 なぜか目の前の春輝に……

 嘘がつけない……


「好き……だけどさ……」


「だけどなに?」


「あいつ……好きな男いる……」


「だから?」


「連絡先も知らない……」


「アパートの場所は知ってるでしょ?」


「部屋が何号室かまでは……わかんねえから……」


「301」


「は?」


「だから、ほののんの部屋は301号室」


「なんで春がそんなこと知ってるわけ」


「だって、ほののんが部屋に入るまで見てたから」


「は?」


「あやあやには必要かなって思って、この情報」


 いらなかった?と付け加えた後の春輝の笑顔に、俺の目が捕らわれた。

 
 なんでだよ。

 なんでそんな辛そうな光を瞳に宿してんだよ。

 なんとか作りましたと言わんばかりの春輝の笑顔が、俺の心をなぜか締め付けていく。

 春輝の苦しそうな表情。

 眉を下げ唇をかむ理由が、俺には全くわからない。


 「なんで泣きそうなんだよ?」って聞きそうになったけれど、なんとか言葉をひっこめた。

 春輝は触れて欲しくないんだろうなって、直感で思ったから。

 春輝は何かに気づくようにハッとして、またいつもの緩るん笑顔を取り戻した。
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