ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 そして今日、確認もかねてアミュレットのライブに行ってみた。

 そしたら本当に、熱量が半端ないファンの視線の先にブルーの衣装を纏った綾星くんがいて。

 まぶしい笑顔で歌い踊っていて。


 ステージにいる綾星くんと、目があっちゃったらどうしよう。

 なぜ見に来てるの?って思われちゃうかな。


 ハラハラしながらまっすぐ綾星くんだけを見つめていたけど、ステージ上のキラキラ輝く瞳は私なんか捉えるはずもない。

 ものすごくものすご~く勇気を出して、握手会に参加してみた。

 やっぱり私のことなんて、綾星くんは1ミリも覚えていなかった。



 そうだよね。

 綾星くんはお弁当屋さんでもライブでも、かわいい女の子たちにわんさか囲まれている。

 そんな中で私を見てくれるなんてこと、あるわけないよね。



 1か月たってもまだ消えない胸の痛み。

 別れた蒼吾(そうご)さんのことは、今でも忘れられない。

 思い出すだけで、胸が締め付けられそうなほど苦しくなるのに。

 私の心の中に、なぜか綾星くんが現れてくる。


 なんで、私の心に住みついているの?

 オムライスを作ってくれたから?

 ギターを弾いて歌ってくれたから?

 それとも

 キス……されたから……?



 綾星くんへのこの想い。

 自分でも名前が付けられないほどぼんやりとしたもので。

 好きとは違うと思うのに、思い出すと痺れるような胸の痛みに襲われる。
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