ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
綾星くんのことを考えないように
料理に集中!
そう言い聞かせながら
野菜を切り終えたとき。
「ほのか、ちょっとだけいい?」
ドア越しの、綾星くんの声にビクリ。
蛇口からの冷たい水で手を洗いながら
『理由のわからないドキドキも
水と一緒に洗い流してください』と
お願いしてみるも効果なし。
なぜか心の飛び跳ねが止まらないまま、
ゆっくりとドアを開けた。
「綾星くん、どうしたの?」
「あれ、読んでいい?」
へ?
「棚に置いてある、あのマンガ」
綾星くんの細くて長い指の先。
私の大好きな漫画を
指している……
けど……
ひぇぇぇ……!!
このマンガは……
お願いだから見ないでぇ!
「面白く……ないよ」
どうしても読んで欲しくなくて。
諦めてくれるように誘導。
「は?
ほのかが好きなマンガじゃないのかよ?」
好き……
大好きだけど……
「好きじゃ……ない……」
「ふ~ん。
ま、暇だから、読ませてもらうわ」
だから……
読まないでってば……
って。
もう手に取ってるし……
あまりの恥ずかしさに
どんな顔をしていいかわからない私。
キッチンに逃げ込んで
オロオロしながらドアを閉めた。