ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

『えっ、もしもしっ……ほのかちゃん?』


 受話器の向こうから聞こえる、驚きと嬉しさがごちゃ混ぜになった声。

 ほのかからの連絡を心待ちにしていたのが、はっきりわかる。


『あの……俺ね……ほのかちゃんのこと……』


「ほのかなら寝てますよ」


『……え?』


「俺の隣で」


 声にならないような驚き声が、かすかに返ってきた。

 簡単に嘘が口から出たのに、俺の心臓は電話を切るまでもつか心配なほどのバクバク状態。

 心の弱さを誤魔化したくて、言葉を失った相手に追い打ちをかける。


「もう、やめてもらえますか?」


『やめるって……?』


「ほのかのこと、傷つけるの」


『俺……そんなつもりじゃ……』


 ほのかが俺の目の前で、声を殺してボロボロ泣いている。

 ほら、ほのかの強がりじゃん。

 本当は御曹司のこと、好きで好きで、縁なんて切りたくないんだろうな。

 ほのかの想いがわかればわかるほど、御曹司へのぶつける言葉もきつくなってしまう。


「ほのかの全部、もう俺の物なんで、電話かけないでもらえますか?」


『でも……』


「これだけ言ってもわかんねえの?
 ほのかのかわいい声、誰にも聞かせたくないんだよ、マジで」

< 82 / 216 >

この作品をシェア

pagetop