ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 部屋に響き渡るほどドスの効いた声を張り上げてしまった俺。


『……わかった』


 スマホを通して耳に入ってきた、痛々しい御曹司の声。

 俺の目の前には、泣き止む気配のないほのか。


 こんなこと気づきたくもなかったけど、今の俺にははっきりわかる。

 御曹司もほのかも、お互いのことが今でも大好きでたまらないってことが。


 その事実を二人に知られるのが怖い。

 すれ違ったままでいて欲しい。

 卑怯な俺は、俺は急いで通話を切った。

 
 泣きじゃくるほのかに、俺は何をしてあげたらいい?

 慰める? 抱きしめる? それとも何もしない?

 正解がわからなくて、これ以上嫌われるのが怖くて、何もしないを選んだヘタレな俺。

 きっと御曹司だったら、陽だまりみたいな笑顔で優しく癒してやるんだろうけど。

 優しくした俺を通して御曹司を思い出して欲しくない。

 なにもせず、ほのかの涙が止まるのをひたすら待ち続けた。

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