ドロ痛な恋が甘すぎて

「ごめん、俺寝てた?」


「あっ……うん」


 綾星くん、寝ぼけてたの?

 私にキスしたことは覚えてないの?


 伸びをしながらふわ~と欠伸をしている綾星くんは、さっき私の唇を奪ったことなんて全く感じさせないほど普通。


 今のキスは1か月前と違う。

 全然違う。

 だって今回はお寝ぼけだもん。

 事故みたいなものだもん。


 でも前回のキスは?

 あれはいったいなんだったの?



 ずっと聞きたくて聞きたくて。

 でも、聞く勇気なんて出てこなくて。

 濁った問いが、頭の中をグルグルとうごめいて気持ち悪い。

 そんな中、目をこすりながらの綾星くんが悪魔声を発した。


「ほのかさ、いきなり寝るなよな」


「へ?」


「帰ろうと思ってキッチンに行ったら、壁によさりかかって寝てた」


「綾星くんが運んでくれたの? ベッドまで……」


「ああ」


 ひゃぁ!!

 恥ずかしい。

 重かったよね?
< 91 / 216 >

この作品をシェア

pagetop