ドロ痛な恋が甘すぎて
「ごめん、俺寝てた?」
「あっ……うん」
綾星くん、寝ぼけてたの?
私にキスしたことは覚えてないの?
伸びをしながらふわ~と欠伸をしている綾星くんは、さっき私の唇を奪ったことなんて全く感じさせないほど普通。
今のキスは1か月前と違う。
全然違う。
だって今回はお寝ぼけだもん。
事故みたいなものだもん。
でも前回のキスは?
あれはいったいなんだったの?
ずっと聞きたくて聞きたくて。
でも、聞く勇気なんて出てこなくて。
濁った問いが、頭の中をグルグルとうごめいて気持ち悪い。
そんな中、目をこすりながらの綾星くんが悪魔声を発した。
「ほのかさ、いきなり寝るなよな」
「へ?」
「帰ろうと思ってキッチンに行ったら、壁によさりかかって寝てた」
「綾星くんが運んでくれたの? ベッドまで……」
「ああ」
ひゃぁ!!
恥ずかしい。
重かったよね?