ドロ痛な恋が甘すぎて


「あっ、ありがとう。そのまま帰ってくれて良かったのに」


「寝てる奴放って、帰れるわけないじゃん」


「え?」


「鍵開けっ放しになるだろ? 変な奴が入ってきたらどうすんだよ」


 そんな心配してくれてたんだ。


「それにさ、手、掴まれたし」


「え?」


「ほのかをベッドに寝かせたら、いきなり掴まれて。俺の手をほのかのほっぺに当てられてさ」


 そんな恥ずかしいことしちゃったんだ、私。


「ごめんなさい、間違えちゃったみたい」


「なにと?」


 私はベッドに寝転がっているナマケモノさんを、ぎゅっと抱きしめた。

 そしてナマケモノさんの手のひらを、綾星くんに突き出す。


「この子と……です……」


「は?」


「寝れないの……この手……ほっぺに当てないと……」


 さすがに恥ずかしすぎだよ。

 もうすぐ20歳になる社会人なのに、ナマケモノさんの手のひらをほっぺに当てないと寝られないなんて。

 幼稚園児ですか?って呆れちゃったよね?

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