ドロ痛な恋が甘すぎて

「あ、もう12時すぎちゃったよ」


「やばい、帰んなきゃ。明日、新曲のダンス練習が入ってるんだった」


「家まで送ってくよ。歩きでだけど」


「は? ほのか、マジで言ってんの?」


「ダメ……だったかな?」


「ダメとかじゃなくてさ」


 なんか、綾星くんの顔が険しくなっちゃった。

 怒らせちゃったかも。


「ほのかが夜道、一人で帰ることになる」


「でも綾星くんは高校生だし……何かあったら……」


「ほのかの方があぶないから」


 ものすごく綾星くんを怒らせちゃたみたい。

 悪魔のイジリを通り越して、あきれ顔でため息をついている。


「……ごめんなさい」


「あああぁぁぁぁ、もう!ほのかが謝ることじゃないから! じゃあ玄関まで送って」


「うん……」


 リビングから玄関までなんてドアを開けてすぐ。

 あっという間に着いちゃった。

 バイバイする前に、勇気を出して言ってみてもいいかな?

 そうしないと永遠にサヨナラになっちゃうから。

< 94 / 216 >

この作品をシェア

pagetop