ドロ痛な恋が甘すぎて
「あ、もう12時すぎちゃったよ」
「やばい、帰んなきゃ。明日、新曲のダンス練習が入ってるんだった」
「家まで送ってくよ。歩きでだけど」
「は? ほのか、マジで言ってんの?」
「ダメ……だったかな?」
「ダメとかじゃなくてさ」
なんか、綾星くんの顔が険しくなっちゃった。
怒らせちゃったかも。
「ほのかが夜道、一人で帰ることになる」
「でも綾星くんは高校生だし……何かあったら……」
「ほのかの方があぶないから」
ものすごく綾星くんを怒らせちゃたみたい。
悪魔のイジリを通り越して、あきれ顔でため息をついている。
「……ごめんなさい」
「あああぁぁぁぁ、もう!ほのかが謝ることじゃないから! じゃあ玄関まで送って」
「うん……」
リビングから玄関までなんてドアを開けてすぐ。
あっという間に着いちゃった。
バイバイする前に、勇気を出して言ってみてもいいかな?
そうしないと永遠にサヨナラになっちゃうから。