ドロ痛な恋が甘すぎて

「それで? ほののんと何か進展あった?」


 友達の恋バナを聞く女子みたいに、キラキラな瞳を俺に向けている春輝。

 言えねぇ。

 俺色のネックレスをあげたとか。

 寝ぼけたふりしてキスしたとか。

 恥ずかしすぎて言えねぇし。


「進展なんてないよ」


「嘘だぁ。ほののんのお部屋で二人だけだったんでしょ?」


「だから、ほのかが寝ちゃったって言っただろ?」


「連絡先くらい交換した?」


「NO……」


「じゃあ次に会う約束は?」


「まぁそれは……した……けど……」


「じゃあその時に告白ね」


「春、勝手に決めんな」



「だって僕が強引な手を使わないと、あやあやは自分の気持ちを伝えないじゃん」


「だってあいつ、まだ御曹司のことを大好きだし」


 御曹司を想って泣き出したほのかを思い出し、えぐられたように痛みだした俺の胸。

 春輝の暴走を止めたいのに、そんな気力が湧き出てこない。

 その時、俺よりも絶対に傷ついていることがわかる痛々しい声が、俺の耳に届いた。

< 97 / 216 >

この作品をシェア

pagetop