【完】恋の治療は保健室で
「それで何が聞きたいの?」

「・・・」

「僕が何故あの病院に行ってるか?」

・・・!

「やっぱり。もしかして体育祭の特訓の時も見てた?」

「...はい」

「僕ね、あの病院で医療について教わっていて、そのお礼に休日、病院の手伝いをしているんだ。そこにいる看護師さんはね、昔の恋人のお姉さんで昔からお世話になっている人なんだ」

「そう、だったんですね。だからあんなに親しそうに...」

「杉原さん何か勘違いしてない?あの人、結婚してて子供も三人いるんだよ」

「結婚!?子供もさ、三人...!」

「そうだよ。だから僕の恋人ではないよ。それに今は彼女はいないんだ。正確には誰とも付き合う気がないかな」

「何でなんですか?」

「杉原さんが平川君を振った理由と同じかもしれないし、違うかもしれない」

あたしが平川君を振った理由と同じ...。でも違うかもって...。
「薬師寺先生」

「ん?なんだい」

「その、先生の昔の恋人さんってどんな方だったんですか?」

「どんなって、そうだな...杉原さんによく似ている。ドジなところ、一生懸命なところ。どんな人でも大切に思うところ。ほんと、よく似てる」
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