【完】恋の治療は保健室で
「ここなら誰にも見られることがない」

「どうして...」

「杉原さん? 」



「なんで先生はいつもあたしに優しくしてくれるんですか?なんでいつもあたしのことばかり気を使ってくれるんですか?なんであたしには冬和さんのことちゃんと話してくれたのに平川君には話さないんですか?ちゃんと話せば平川君だって分かってくれます!」



「杉原さん落ち着いて」




「先生はあたしが冬和さんに似ているから優しくしてくれたりしてくれるんですか?あたしが似てなかったら...似てなかったらこんなに胸が苦しくなることなんてなかった...!あたしは..あたしは...!先生と出会ってからたくさんのことがあって、先生のことを知っていくとたくさんモヤモヤして自分の中で整理してもしきれない。むしろモヤモヤが増えていく。先生、答えてください。あたしはこれからどうしたらいいんですか?」




先生の胸を拳で何回も叩き、涙を流しながらあたしは自分の鬱憤をぶつけた。


これは八つ当たりでしかない。


けどもう、こうしないと自分の本音を話せなかった。


言葉をぶつける事に自分が言いたいことがめちゃくちゃになっていく。



怒りに任せて話すということはそういう事だ。
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