【完】恋の治療は保健室で
「杉原さんごめん。まだ君には話すことは出来ない」



「なんでいつもそうやって逃げようとするんですか?先生はいつもそうです」



「そんな事は...!」



「そんな事あります!いつもそうです。本当の事を話さないで誤魔化して、逃げて...先生は本当に優しい方です。面倒みが良くて、一生懸命でカッコよくて...。あたしはそんな薬師寺先生に憧れていました。でも今の先生は全然カッコよくない!むしろカッコよくない!」



「杉原さん...。そうだよ、僕はいつも逃げてばかりさ。冬和の事もいつも逃げてきた。本当は君にはちゃんと話したい。けど、怖いんだ。君に嫌われるのが」



そう言って薬師寺先生はあたしを抱きしめた。



「そうやっていつも誤魔化す。本当にサイテーです」



「あぁ。僕は昔からサイテーなやつさ。今だってまた逃げて君を抱きしめている。けど今は君にしてあげられることはこれしかないんだ。許してくれ...」



「許しません絶対に...!あなたみたいなサイテーな人は絶対に...。次はちゃんと話して下さい。あたしは薬師寺先生の事をちゃんと受け止めますから」



「あぁ。ありがとう奏」
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