【完】恋の治療は保健室で
ニコニコと笑っている顔に冗談の文字はない。これはもう諦めるしかない。

「あっ、イルカショーが始まる時間だ!奏ちゃん走るよ!」

恋人つなぎのままイルカショーがやるステージまで走って行った。走りながら周りに知っている人がいないか探してしまった。さすがにこんなところ見られたらやばいとかじゃなくて恥ずかしくて穴の中に入りたくなる。

イルカショーが見終わって、お昼を食べに水族館内の食堂へ。

「ちょっと疲れたねー」

「スケートやってすぐ水族館でしたからね。あたしも疲れました」

「お昼食べてからラッコ見に行こうね」

「はい」

「ラッコ見たら次は杉原さんが一番喜ぶところに行くよ」

「あたしが喜ぶところですか?」

「うん。今回の最終目的地でもあり、一番連れて行きたかったところだよ」

「楽しみです!それはどこなんですか?」

「着くまでのお楽しみ」

「ええー。楓舞さんの意地悪」

「ふふ。君が知らないだけで僕は結構意地悪だよ?」
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