【完】恋の治療は保健室で
「お腹いっぱいになったし、そろそろ行こうか」

「あっ。あたしちょっとお手洗いに行って来ていいですか?」

「いいよ。僕はその近くの売店で待ってるから」

手を洗いながらさっきまで繋がれていた方の手をじっと見ていた。
冷たい水で洗っているのに繋いでいた手だけはまだ熱が残っていて熱い。大きな手だったな。あたしの手がすっぽり入るくらい。いや実際に入っていたな。繋いでるのって水族館の中だけか。もう少し繋いでいたかったな。ってまた何言っているんだあたし。文化祭の時もかっこいいとか口走っていたし。心臓の鼓動が止まらない。ドキドキが大きくなっていく。昨日若菜が聞いてきたっけ。薬師寺先生のこと、好きかって。今まで何回も疑問に思っていた。薬師寺先生といると楽しくて心が安らいぐ。薬師寺先生といると心臓の鼓動が早くなって、胸が締め付けられるこの感じ。いつも何だろうと思っていた。ドキドキする度に薬師寺先生のこと意識して頭から離れない。若菜。若菜って本当に凄いよ。自分じゃ全然気づかなかったよこの気持ちに。ありがとう気づかせてくれて。これでハッキリした。あたしは薬師寺先生のことが好きなんだ。もうこの気持ちに嘘はつけない。
< 241 / 321 >

この作品をシェア

pagetop