【完】恋の治療は保健室で
電車で一時間。水族館からかなり遠くまで行くんだな。一体どこに向かっているんだろう。なんかまた一段とカップルが多くなっている気がする。さっきの人達いないよね?

「着いたよ。結構混んでるな」

ギュ

「あの、水族館にいる間までじゃ...?」

「混んでるからね。はぐれないようにしっかり捕まってて」

「わあ...!本当に人多いですね」

「皆、目的地が一緒なんだろうね」

「あの、そろそろ教えてくれませんか。どこに行くのか」

「もうすぐだよ。ほら、着いたよ」

先生の背中ごしに見えたのは大きなクリスマスツリー。もみの木の周りにはたくさんの飾りやイルミネーション用の電球が付いている。

「あの、ここって」

「文化祭の日に言ってたでしょう。クリスマスの日、クリスマスツリーを見るデートに憧れているって。杉原さん、空を見て」

「空?あっ...!」

空から白いものが降ってきた。雪だ。雪が降ってきた...!

「今日は夜から雪が降る予定だったんだ。まさか本当に降るなんて思わなかったよ」

フッ...。

「何!?」

「大丈夫だよ。それよりツリーを見て」

急に辺りが暗くなり、先生の言う通りツリーを見てみると徐々に暗くなっていたツリーが光始めた...!

「綺麗」

「喜んで貰えてよかった。杉原さん、手を出して」
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