【完】恋の治療は保健室で
奏が無言で立ち上がり、龍也を平手で顔を叩いた。

パシーン!

「てめぇ何すんだ!」

バシッ!

「奏!」

「杉原さん!」

それに腹が立った龍也が奏の顔を同じように叩いた。

「兄貴!何やってんだよ!?」

「龍也お前自分が何をしたのか分かってんのか?」

奏がまた立ち上がって龍也の前に立った。

「奏?」

「いい加減にしてください!確かに昔のことは本当に悲しい出来事でした。薬師寺先生もその時のことを今でも引きずってよく悲しい顔をします。だけどあなたのように後ろばかり向いていません!薬師寺先生は今を前に向いて歩んでいます」

「だからなんだ?」

「今のあなたを見て冬和さんはどう思いますか?あなたが前を向かず薬師寺先生のことを逆恨みしている姿を見て冬和さんは...冬和さんはそんな姿が憧れていた龍也さんと知ったら天国で悲しみます。むしろ心配します。冬和さんが憧れていた龍也さんは小さい頃から頑張っていて優しくて、かっこいい。そんな龍也が大好きだったと思います。だからお願いです。もうこれ以上、冬和さんが悲しむような事はしないで下さい!」
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