黙って俺を好きになれ
偶然の再会から2ヶ月。共有できた時間を数えたらどのくらいだろう。放課後を一緒に過ごした思い出の何十分の一・・・?

ぼんやり幹さんを見上げる。子供もお墓も、私の残りの人生を背負うって意味で。口先でも簡単に言えることじゃ。

「ど・・・うして、そこまで・・・?」

「何がだ」

「だってまだ会って少ししか・・・」

「十分だ、釣りが来る。・・・とうに諦めた女だったからな」

あなたは目を細めて不敵に口角を上げた。

「俺を長く待たせるなよ?いい加減、思い切れ」

「・・・はい」

頷くと、後ろ頭を捕まえられて一息に深いキスが繋がった。いつもより猛々しく私を翻弄した幹さんは最後に優しく髪を撫で、あっけなくドアの向こうに消えた。後ろ姿の残像だけがいつまでも、・・・消えなかった。




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