黙って俺を好きになれ
「糸子さんのセンパイがその辺のヤクザとは別モノだって知ってる?」
畳みかけるように筒井君が言った。
「秋津組って有名な暴力団、糸子さんも聞いたことあるでしょ。そこの六道会って二番目に大きいグループの幹部候補なんだよ。出世争いのど真ん中にいる、ね」
秋津組。ニュースでもよく耳にする。抗争や発砲事件と言えば櫻秀会かどっちかってくらいに。最近も騒がれてた。まさかそんな大きい組織で立場のある人だったなんて。
知らなかった。・・・ううん気付いていたかもしれない、幹さんの他を圧する空気に。だから何も訊かなかった、目を瞑ったままでいた。
自分にとって幹さんが幹さんであるかぎり、何者だろうと構わないと思っていた。だけど。目の前に落とされた現実は流してしまえるほど軽くなかった。鉄の塊になって足許を抉り、音も無くのめり込んだ。
「そんなヤツと一緒にいて、ほんとに糸子さんは笑って暮らせる?自分の親が巻き込まれるかもしれなくても?いつでもあの人が漫画みたいにカッコよく助けてくれる?」
筒井君は挑むように私を見据えていた。
「絶対大丈夫って言ってくれたら、糸子さんをこれ以上困らせない。好きな人が幸せならいいんで、もう」
まるで。見えない刃を真っ直ぐ振りかざし。
畳みかけるように筒井君が言った。
「秋津組って有名な暴力団、糸子さんも聞いたことあるでしょ。そこの六道会って二番目に大きいグループの幹部候補なんだよ。出世争いのど真ん中にいる、ね」
秋津組。ニュースでもよく耳にする。抗争や発砲事件と言えば櫻秀会かどっちかってくらいに。最近も騒がれてた。まさかそんな大きい組織で立場のある人だったなんて。
知らなかった。・・・ううん気付いていたかもしれない、幹さんの他を圧する空気に。だから何も訊かなかった、目を瞑ったままでいた。
自分にとって幹さんが幹さんであるかぎり、何者だろうと構わないと思っていた。だけど。目の前に落とされた現実は流してしまえるほど軽くなかった。鉄の塊になって足許を抉り、音も無くのめり込んだ。
「そんなヤツと一緒にいて、ほんとに糸子さんは笑って暮らせる?自分の親が巻き込まれるかもしれなくても?いつでもあの人が漫画みたいにカッコよく助けてくれる?」
筒井君は挑むように私を見据えていた。
「絶対大丈夫って言ってくれたら、糸子さんをこれ以上困らせない。好きな人が幸せならいいんで、もう」
まるで。見えない刃を真っ直ぐ振りかざし。