黙って俺を好きになれ
ふと醒まされる。部屋に響き渡ったインターホンのチャイムにだった。泣きすぎたせいで頭の芯が重い、怠い、瞼も開かない。昼間に来るなら何かのセールスだと、布団の上にうつ伏せになったままでいた。
立て続けに三回。沈黙した途端スマホから流れ出す着信音。まさか。
勢いよく飛び起き、立ち眩みがしたのもかまわずテーブルの上に手を伸ばした。取り上げたスマホ画面に釘付けになり、顔が大きく歪んだ。
跳ね上がった分の期待が見る間に失意に変わる。ドアの向こうに立っているのが筒井君だと知って。どうしてここにいるのか、すり減った思考回路が即座に繋がらなかった。
あの夜以来、二人の問題だから口を挟まないと断言したエナが余計なお節介を焼いた以外にない。心配してくれたのかもしれない、でも今日は。今は、誰にも会いたくなかった。取り繕える気力も底をついていた。
応答しなかった。諦めて帰ってほしかった。・・・不意に鳴り止んだ。
「・・・糸子さん!」
ドア越しに外からくぐもって聴こえた。
「顔だけ見たら帰るから・・・っ」
必死に訴えかける声だった。
立て続けに三回。沈黙した途端スマホから流れ出す着信音。まさか。
勢いよく飛び起き、立ち眩みがしたのもかまわずテーブルの上に手を伸ばした。取り上げたスマホ画面に釘付けになり、顔が大きく歪んだ。
跳ね上がった分の期待が見る間に失意に変わる。ドアの向こうに立っているのが筒井君だと知って。どうしてここにいるのか、すり減った思考回路が即座に繋がらなかった。
あの夜以来、二人の問題だから口を挟まないと断言したエナが余計なお節介を焼いた以外にない。心配してくれたのかもしれない、でも今日は。今は、誰にも会いたくなかった。取り繕える気力も底をついていた。
応答しなかった。諦めて帰ってほしかった。・・・不意に鳴り止んだ。
「・・・糸子さん!」
ドア越しに外からくぐもって聴こえた。
「顔だけ見たら帰るから・・・っ」
必死に訴えかける声だった。