黙って俺を好きになれ
「待たせたなイトコ」
スマホを上着の内ポケットに仕舞い込みながら、幹さんが隣りに戻ってきた。
「山脇、出せ」
無言で車を発進させた後ろ頭を何気なしに見やると、「どうした」と横から低い声。あなたがどことなく訝しそう。
「何でもないですよ?」
・・・・・・目が怖いです、幹さん。
「山脇さんとちょっと話をしてたんです」
「俺の悪口でも言ってたか」
顔が悪い人になってます、幹さん。
「山脇さんはちょっと厳しいお父さんみたいです、って話だったんですけど」
途端、運転手さんが小さく咽せた。
「こいつはそんな、・・・いやいい」
詰まらなそうに言った幹さんは私を抱き寄せ、髪を撫でる。最近は癖のように。
山脇さんは確かにドライで、色々な割り切りができてる人に思う。私と幹さんが谷底に落ちても手助けしてくれないだろうし、這い上がって来るのをそこで待ってたりもしない。でも私達が自力で帰り着いたら真夜中でも黙って迎えてくれる、そんな人。・・・かな。
心地いい指先に甘やかされつつ、胸のノートに書き留めておいた私だった。
おわり
スマホを上着の内ポケットに仕舞い込みながら、幹さんが隣りに戻ってきた。
「山脇、出せ」
無言で車を発進させた後ろ頭を何気なしに見やると、「どうした」と横から低い声。あなたがどことなく訝しそう。
「何でもないですよ?」
・・・・・・目が怖いです、幹さん。
「山脇さんとちょっと話をしてたんです」
「俺の悪口でも言ってたか」
顔が悪い人になってます、幹さん。
「山脇さんはちょっと厳しいお父さんみたいです、って話だったんですけど」
途端、運転手さんが小さく咽せた。
「こいつはそんな、・・・いやいい」
詰まらなそうに言った幹さんは私を抱き寄せ、髪を撫でる。最近は癖のように。
山脇さんは確かにドライで、色々な割り切りができてる人に思う。私と幹さんが谷底に落ちても手助けしてくれないだろうし、這い上がって来るのをそこで待ってたりもしない。でも私達が自力で帰り着いたら真夜中でも黙って迎えてくれる、そんな人。・・・かな。
心地いい指先に甘やかされつつ、胸のノートに書き留めておいた私だった。
おわり