Second lover
アラームで重たいまぶたを擦りリビングへ向かう。

「まさ、起きるの遅い」

バタバタ忙しそうにする嫁。

『仕方ねぇだろ…接待朝まで続いたんだから』

本当は日付変わる前に解散してダチと飲んでたんだけど。

「朝ごはん食べてね
私ひな幼稚園送ってそのまま仕事行くから」

こっちを見ることなくそう言い娘のひなの荷物をまとめる。

『ひなちゃ〜ん
パパ仕事行ってきまちゅよー
ひなちゃん保育園楽しんでねえ』

返事をせずひなに話しかける。
まだ言葉は喋らないで笑顔であぶあぶ言ってるひなを抱きかかえ慌ただしく出てく嫁。

『……ーーっ、ぁぁ気持ち悪い』

完全二日酔いで飯を食べる気にもなれず、テーブルに置かれた粗末な朝食に手もつけず身支度を済ませ家を出た。

「仕事だりぃ〜
大好きなひなちゃんの為にパパ頑張ります」

数日前に撮ったひなの写真付きでTwitterを更新。幸せアピール。

幸せに見える家庭。
朝晩と起きたら当たり前のようにある飯。
洗濯され綺麗に畳んである服。
嫁との愛しの娘。

なんの不自由もない。

でも、俺が望んでたのってこんなんだっけって思う。

ーーーー

『華月は幸せだな』

「何が?」

『帰ったら誰かがおかえりって言ってくれんの
俺そんなことないから
幸せなことだよ』

ーーーー

いつか元カノに言った自分の言葉を思い出す。

そうだ。
俺は幸せな家庭に憧れてた。

別に自分の家族に、親に不満があったわけではないけど。

「今日飲み行くから飯いいわ」

嫁にLINEを送り仕事へ向かう。
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