今は亡き君へ。
今からあの人に会えると思うと美樹の胸は高鳴る。徐々に大きくなっていくエンジン音と比例するように、美樹は期待に胸を弾ませていた。
お墓の匂い。
いつも彼と会う、この場所。
彼と初めて会った日から十年が経ったが、美樹のこの想いは変わることはない。
それは、これからもずっとだ。
しっかりと駐車場に車を止めて、車から出る。
懐かしいこの匂い。お墓の匂いは去年と同じく健在だった。
持ち物を持って、速足になりそうな足を必死に堪えながら、美樹はある墓の前まで向かった。
そしてその墓の前まで来ると、手を合わせて、墓石に水をかけてあげた。
「今日は、めちゃくちゃ暑いね。熱中症にならないでね?」
少し笑いながら、彼の顔を思い出して、また笑みをこぼした。
その時。風が吹いて、先ほどまではいなかったところにクモが現れた。
いや、元々いたのかもしれないが、美樹はそう思った。
ビクリと肩を揺らし、美樹は身震いをした。
美樹はクモが苦手なのだ。
だが、そのクモを見ると、ほっと緊張を解いた。
「…久しぶり。」
美樹が頬を綻ばせながらにっこりと笑ってそういった。
クモは美樹に近づいてきて、やがて美樹の唇まで移動する。
お墓の匂い。
いつも彼と会う、この場所。
彼と初めて会った日から十年が経ったが、美樹のこの想いは変わることはない。
それは、これからもずっとだ。
しっかりと駐車場に車を止めて、車から出る。
懐かしいこの匂い。お墓の匂いは去年と同じく健在だった。
持ち物を持って、速足になりそうな足を必死に堪えながら、美樹はある墓の前まで向かった。
そしてその墓の前まで来ると、手を合わせて、墓石に水をかけてあげた。
「今日は、めちゃくちゃ暑いね。熱中症にならないでね?」
少し笑いながら、彼の顔を思い出して、また笑みをこぼした。
その時。風が吹いて、先ほどまではいなかったところにクモが現れた。
いや、元々いたのかもしれないが、美樹はそう思った。
ビクリと肩を揺らし、美樹は身震いをした。
美樹はクモが苦手なのだ。
だが、そのクモを見ると、ほっと緊張を解いた。
「…久しぶり。」
美樹が頬を綻ばせながらにっこりと笑ってそういった。
クモは美樹に近づいてきて、やがて美樹の唇まで移動する。