毒づく糸目のホンノネは
毒
時間を少し戻す。
私がまだ、アイプチどころか自分の容姿にまで無頓着だった一か月前のこと。
「あの 落としたよ」
肩に手が触れた感覚と同時に
透き通るような声が 耳を駆け巡った。
振り返って一秒、
私は恋に落ちたのだ。あっけなくも、
17年間知りたくてもしれなかった
恋という存在に。
「落ちる前に掴めたら良かった
そしたら兎も汚れなかったのに ごめんね」
私のだいすきな兎のマスコット を 手に置いている、目の前の 美しい王子様。
瞳も髪の色も 色素が薄くて
後ろが透けちゃうんじゃないかと思った。
「あの、お名前を、教えてくださいませんか?!」