ポケットの中からの恋模様~くぅちゃん編~
STORY
彼との出会いは、偶然だった。
入学式から1ヶ月、引っ込み思案の私はなかなか友達が出来なくて。
放課後の図書室で読書することが、心の支えとなっていた。
ある日、七月隆文さんの『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』という本を探していたとき、なかなか見つからなくて、図書委員さんも司書さんも忙しそうで困っていると、
「何か本、捜しているの?」
「えっ?」
ふり返ると、眼鏡の中の優しい瞳が印象的な、清潔な香りのする男子学生に声をかけられた。
「あぁ、その本なら、さっき、僕が返却したから・・・ちょっと待って」
カウンターに行って、話をしてくれて。
「借りられるって。好きなの?七月隆文さん」
「いえ、初めて読むんですけど、映画化されたでしょ、この話。映画、見損ねちゃって」
「七月さんは、素敵な話を書くよ。ケーキ王子シリーズもおススメだし」
どきんっ。私が褒められたわけじゃないのに、その笑顔にときめいた。
「先輩・・・?は、よく、図書室に来るんですか?」
「僕は、ここの常連さ。あんまり、図書室に来る人っていないよね・・・少し、ここで読んでいく?僕も、少しいるけど」
「い、いいんですか?」
先輩の持っていた本は、池井戸潤さんの「下町ロケット」だった。
しばらく、2人で本を読んでいた・・・と言うか、私は、ほとんど、「ふり」だった。なんか
読書好きの男の人っていいなぁ。先輩、かっこいいし。名前・・・聞いてもいいかな。でも、本読んでるし。
「そろそろ帰ろうか。あ、自己紹介してなかったね。僕は、飯野浩二。3-Dだよ。君は?」
「高中瑞希です。1-Aです。よろしくお願いします、飯野先輩」
「瑞希ちゃんか。浩二でいいよ」
「浩二先輩。よろしくお願いします」
「じゃあ、帰ろうか。高梨駅でいいんだよね?」
「いえ、あの・・・私は、徒歩で通ってるんで」
「そうなんだ。じゃあ、送るよ」
「あっ、でも、高梨駅とは逆方向で・・・・」
浩二先輩が微笑った。
「ウォーキングになっていいよ。じゃ、帰ろ?」
どきどきどき。
歩きながら、色んなことをしゃべった。私が一人っ子なこと、浩二先輩が三人兄弟の末っ子なこと、2人とも、運動は苦手なインドア派なこと・・・。
あっという間に自宅に着き、別れを告げる。
「また、明日図書館で会えますか?」
「あぁ。また、4時ごろ行くよ」
浩二先輩の後ろ姿を見つめながら、あぁ、これって、恋かも?と思った。
入学式から1ヶ月、引っ込み思案の私はなかなか友達が出来なくて。
放課後の図書室で読書することが、心の支えとなっていた。
ある日、七月隆文さんの『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』という本を探していたとき、なかなか見つからなくて、図書委員さんも司書さんも忙しそうで困っていると、
「何か本、捜しているの?」
「えっ?」
ふり返ると、眼鏡の中の優しい瞳が印象的な、清潔な香りのする男子学生に声をかけられた。
「あぁ、その本なら、さっき、僕が返却したから・・・ちょっと待って」
カウンターに行って、話をしてくれて。
「借りられるって。好きなの?七月隆文さん」
「いえ、初めて読むんですけど、映画化されたでしょ、この話。映画、見損ねちゃって」
「七月さんは、素敵な話を書くよ。ケーキ王子シリーズもおススメだし」
どきんっ。私が褒められたわけじゃないのに、その笑顔にときめいた。
「先輩・・・?は、よく、図書室に来るんですか?」
「僕は、ここの常連さ。あんまり、図書室に来る人っていないよね・・・少し、ここで読んでいく?僕も、少しいるけど」
「い、いいんですか?」
先輩の持っていた本は、池井戸潤さんの「下町ロケット」だった。
しばらく、2人で本を読んでいた・・・と言うか、私は、ほとんど、「ふり」だった。なんか
読書好きの男の人っていいなぁ。先輩、かっこいいし。名前・・・聞いてもいいかな。でも、本読んでるし。
「そろそろ帰ろうか。あ、自己紹介してなかったね。僕は、飯野浩二。3-Dだよ。君は?」
「高中瑞希です。1-Aです。よろしくお願いします、飯野先輩」
「瑞希ちゃんか。浩二でいいよ」
「浩二先輩。よろしくお願いします」
「じゃあ、帰ろうか。高梨駅でいいんだよね?」
「いえ、あの・・・私は、徒歩で通ってるんで」
「そうなんだ。じゃあ、送るよ」
「あっ、でも、高梨駅とは逆方向で・・・・」
浩二先輩が微笑った。
「ウォーキングになっていいよ。じゃ、帰ろ?」
どきどきどき。
歩きながら、色んなことをしゃべった。私が一人っ子なこと、浩二先輩が三人兄弟の末っ子なこと、2人とも、運動は苦手なインドア派なこと・・・。
あっという間に自宅に着き、別れを告げる。
「また、明日図書館で会えますか?」
「あぁ。また、4時ごろ行くよ」
浩二先輩の後ろ姿を見つめながら、あぁ、これって、恋かも?と思った。