雨が降ると、君との思い出が蘇るんだ
『あ、もしもし。玲音(れのん)ちゃん?実は……大輝、病気で倒れて……』

「……え?」

『ごめんね。あの子から、口止めされてたから言えなかったんだけどね……実は、あの子……重い病気持ちなの』

大輝のお母さんの言葉に、時が止まったような気がした。え?あの元気な大輝が……病気、持ち……?

『……あの子ね、医師からハッキリと余命宣告されてるの。その言葉を聞いた時、あの子は泣いてた』

「え……」

『それ程辛かったんだろうね』

大輝は、今まで無理をして……?

「……あの……今から大輝のもとに行っても良いですか?」

『良いわよ。あの子、きっと喜ぶわ。私は、総合病院の入口で待ってるわね』

その言葉に私は受話器を置くと、カバンを持って病院へと走り出した。



「大輝……!」

私は息を切らしながら、病室へと飛び込む。病院に着いた私は、大輝のお母さんから号室を聞いて、走ってここまで来た。

「……玲音?どうして……」

病院着を着た大輝が、驚いた顔で私を見つめる。

「……ごめんなさい。私が言ったのよ……」

その声に振り向くと、大輝のお母さんが、悲しそうな顔で立っていた。

「え……な、何で……」
< 4 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop