ほんとは、ずっとキミのこと、
<真夢>

ガチャッ

屋上へのドアが開く。

そこには驚いた目をした彼女が立っていた。
俺に背を向け、逃げようとする彼女の腕を掴む。
「にのっ」
ゆっくりと俺の目を見つめる彼女の目は涙が溜まっていた。
「俺、、、知ってた、、、」
彼女はハッとしたように俺の腕を引き剥がそうとする。
「離してっ!!!まなむにはわかんないよっ」
「俺だって、、、俺だってお前が欲しいよ!お前のことずっと俺のものにしたいんだよ」
彼女の目から涙が落ちる。
「俺も男だぞ?にの、、他の男と同じようにお前のこと欲しいよ、、、隣に住んでんだぞ?俺にはわかってたよ、お前の声、、、聞こえてた、、何度も、、俺、、、アイツのこと、、」
俺が言いかける言葉を遮って彼女は言った。
「も、、もう私のこと、、嫌いになって、、」
「にの、、、、」
「お願いだから」

俺は手を離した。
なんて情けない奴なんだろう。

いつもクールな彼女の涙を初めて見た。
こんなことで動揺する彼女じゃないってわかってる。

「俺が今告ってどうすんだよ、、」

動揺しているのは完全に俺だ。
あんな写真見て正気で居られるほど大人じゃない。

新乃に告白する男を何人も見てきた。
そして振られる男も。

いつの間にか出来た変な噂のおかげで、彼女は俺のことを好きだって言ってる奴のことを毎回教えてくるようになった。
いい気はしなかったが、俺は顔が良ければ適当に付き合って恋愛経験を積めばいいと思った。

その度に段々遠くなる彼女との距離。

彼女は何も聞いてこない。
だから俺も話さない。

俺は知っていたのに、、、彼女に何もできなかったんだ。
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