ほんとは、ずっとキミのこと、
「真夢!」
下校中、久しぶりに真夢を見た。
「最近お父さんとお母さんの声聞こえないけど、元気?」
真夢の雰囲気はだいぶ変わった。
金髪に近い髪の色に耳にはピアス。
真夢は私に気づくと、私の方に歩み寄ってきた。

あのいつかの雨の日、傘に入れてくれた日みたいに。
距離が近い。

「にの」
私の顎を持ち上げて真夢と目が合う。
久しぶりに近くで見た彼の顔が美しくて、私はぼーっとしてしまう。
「なに?」
「俺の親しばらくずっと海外出張なんだ。俺も一人暮らし」
「そうなんだ」
私は彼の手をゆっくり下ろす。
「俺もにのも、さんっざん遊んでるのに、、俺たちはヤんねぇの?」
「ははっ、まなむの連れてる女の子の声、聞いたことないけど?」
「にのが寝てるだけじゃね?」
そんなふざけた会話をしながら隣を歩くのは何年振りだろう。
内容は酷いけど。

「まなむぅ」
家が近づいてきた頃、突然酒臭い女が真夢めがけて寄ってきた。
「誰このガキぃ?彼女ぉ?」
どうやってこの場所にきたんだろ、
そんなことを考えていた瞬間。

私の視界は閉ざされた。



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