ほんとは、ずっとキミのこと、
先生への想いは私の初恋だった。

きっと。

「雨だ」
傘がない私は濡れて帰ろうとした。
今日は先生が家庭訪問に来る日。

早く帰らなきゃ、と私が走り出そうとしたその瞬間。

「!?」
「入れよ」
真夢がいた。
「あ、ありがと、、」
164cmの私の身長と変わらなかった真夢はとっくに私のを越えている。
「久しぶりじゃない?帰るの、、?」
私は傘を持つ真夢を見上げて言った。

「仁乃、俺、、」
「真夢、私ね、、」
2人の声が重なる。

「何でもねぇ」
真夢は前を向いた。
「私、、真夢にファーストキス負けちゃったな」
真夢は驚いた顔をしてこっちを見た。
「え?意外だった?ふふ」

その瞬間。
真夢は足を止めてこっちを見た。
顔が近づく。
「近いんだけど」
私はその時、初めて彼の知らない顔を見た。私を見る真面目な顔。
赤くなってたら嫌だな、なんて考えていた。
「ごめん」
「真夢モテモテだよね、噂聞くよ?私一緒に帰ってていいの?」
「お前は特別だよ」
真夢はそう言って笑った。





声が重なった時。
あの時真夢は何を言おうとしてたんだろう。
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