ほんとは、ずっとキミのこと、
<先生>

柊 新乃。
彼女を初めて見た時、衝撃だった。
この子は本当に14歳だよな?
そう疑った。
俺の学生時代にこんな美しい女子生徒を見たことはない。
そう疑うほど、彼女が放つオーラは妖艶で、彼女の身体つきは一般的な14歳とはかけ離れて大人びていた。

そして全くと言っていいほど、人に媚びない。
彼女のオーラが周りの14歳と違いすぎるのか、彼女の周りに集るクラスメイトも見当たらない。
でも彼女が廊下を歩くたび、彼女がその長い髪を耳にかけるたび、多くの男子生徒は彼女を二度見する。

今まで恋愛に苦労したことなんかなかった。
俺が笑いかければ一瞬で相手は自分のものになる。簡単な恋愛ばかりだった。
俺は目が離せなかった。
そして自分さえ疑った。
俺は10歳も年下の、しかも14歳の中学生に惚れたのか?
こんなに虜にされたのか?と。

彼女は親を亡くしていると引き継ぎの先生から聞いた。
本当は「家庭訪問」なんかしちゃいけないだろう。
せめて保護者がいる時でないと。
そんなことわかっていた。

でも男として止められない。
彼女はどんなふうに好きな男に笑うんだろう。
好きな男にだけ見せる顔を知りたい。
そしてそれは自分であってほしい。

1件目の家庭訪問を終え、そんなことを考えていたら、天気予報とは違う激しい雨が降ってきた。






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