ラピスラズリの夢
「その本の表紙、綺麗な青色だね。この空と同じだ。私もその本読んでみよっかな」

幼い頃から空や海と同じ青が好きになっていた。果てしなく広がる空や海を見ているだけで、瑠璃の心は落ち着き、暗いことも忘れられる。

「河合さん、本なんて興味なさそうなのに……。意外」

沙織は驚いた顔を見せ、瑠璃を見つめる。瑠璃は思わず笑ってしまった。

「ひどいなぁ!私だって本くらい読むよ〜。それにさ……」

瑠璃は空に再び視線を映す。視界いっぱいに空の青が広がり、瑠璃は他人事のようにその言葉を口にする。

「私の人生、残り一年くらいしかないんだもん。したいなって思ったことは全部やっておきたいじゃん!」

時が、止まってしまったような気がした。瑠璃は空を見上げ続けているため、沙織がどんな顔をしているかはわからない。でも、瑠璃は気にすることなく空を見上げ続けた。

瑠璃は重い病気により、余命一年と宣告されている。そのことを隠して最期まで生きるつもりだったのだが、ある日、瑠璃がこっそり飲んでいる薬を偶然沙織に見つかってしまったのだ。
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