最後の夏に君に恋する
『こんにちはー』
部活をしている視聴覚室に、挨拶をしながら入る。

「「こんにちはー」」
返してくれたのは二年生。
入ったばかりの一年生はまだそこら辺の礼儀がなってない。
まぁ、私たちもそうだったようにまだ慣れてないだけだろう。

三年生はというと、まだ来ていない。
ゆっくり話しながら歩いてきているのだろうが、後輩より遅く来るのはどうかと思う。
時間の無駄でもあるし、早くして欲しい。

最近、時間が有限な事に改めて気付いた。
だらだらしているだけで過ぎていく時間は面白くない。
真剣に取り組んでこその部活だと思う。

つい最近までは私もだらだらしてた。
けれど、そんな私でも気付けたんだ。
彼女たちに気付けない訳が無い。
恐らく、心のどこかでは気付いているのだろう。

それでも無視して巫山戯たりするのはそれが彼女たちだからだろう。
巫山戯たりする事で自分を保つ。
真面目にしたら自分が自分で無くなると考えているのではないだろうか。

私たちはまだ中学生。
気付ける事は少ない。
私が気付けたのはしっかりと現実と過去を見たから。
彼女たちが気付けないのは今しか見てないから。
人の視野というのは思ったよりも狭い。
その中でどれだけの事に気付けるかが将来の自分の人間性や進路を左右するのだろう。
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