こじらせ社長のお気に入り
ダメダメからの脱却
「柚月。お前さあ、俺のこと本当は好きじゃないだろう?ていうか、なんとも思ってないだろ?」

「……は?」

一つ年上の彼氏、有原勇斗との久しぶりのデート中に、突然放たれた言葉。
急にどうしたというのだろう……?

「そういうところだよ。即答できないってなんだよ」

怒鳴り散らすでもなく、どこか諦めたような声音でぶつけられる。

なんだよって言われても……
図星過ぎて何も言えないなんて胸の内は、さすがに明かせない。

「お前といてもつまんないんだよ。気持ちの向かない相手といてもな。別れよう」

そう言って背中を向けた彼を、泣くでもなく、追い縋るでもなく、まして引き止めようなんてつゆほども思わず、ただ見送っていた。


「こういうの、何回目だったっけ……?」



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