こじらせ社長のお気に入り
「笹川さん。あなたなこの会社の戦力になると判断して採用した、大事な人材です。いなくなられては困るんです。
社長のせいで嫌な思いをさせてしまって、本当に申し訳ありませんでした」

潔く頭を下げる副社長に、思わず慌ててしまう。

「あっ、あの、顔を上げてください」

「本当にごめん」

一緒になって社長まで頭を下げてくるから、完全に怒りや落ち込んだ気持ちは消え失せた。
会社のトップ2人に頭を下げられたこの状況……
焦らないわけがない。

「こ、困ります。顔を上げてください。私は大丈夫ですから」


やっと2人が顔を上げてくれた頃には、背中に嫌な汗をかいていたほどだ。

「許してくれる?」

上目遣いで尋ねる社長と、それを冷たく睨む副社長。そんな2人を見ていたら、なんだかおかしくなってきて、堪えきれずに笑いを漏らしてしまう。

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