こじらせ社長のお気に入り
突然笑い出した私に、2人とも驚いた顔で見てくる。

「ご、ごめんなさい」

しばらくして落ち着きを取り戻すと、慌てて謝罪した。2人とも、この子大丈夫かっていう気配でこちらを窺ってくる。

「おふたりは、すごく……仲がいいんですね。おふたりのやりとりを見てたら、なんだかおかしくて……すみません」

「仲はよくない」

「よくはないですね」

ふたり同時に否定する様に、再び笑いそうになってしまう。

「ほら」

たまらず肩を揺らすと、2人とも気まずそうにしている。目上の人に失礼だと思いつつも、止められない。

「もう大丈夫ですから。
副社長。私のことを大事な人材だと言ってくださって、ありがとうございます。私、その他大勢じゃなくて、私だから必要だって思ってもらいたくて、学生の頃、心を入れ替えて頑張ってきたんです。すごく……むくわれた気がしました。これからも、仕事一筋で頑張るので、よろしくお願いします」

副社長に頭を下げてから、社長の方へ向き直る。なんだか微妙な表情をしている気がするけど、かまわない。もう流されたくないから。



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