こじらせ社長のお気に入り
「さて。戻るか」

「はい。お疲れさまでした」

勇斗とのやりとりを思いながら、今来た道を戻っていく。
また連絡するって……懐かしさからだろうか?

「笹川ちゃん」

「えっ、あっ、はい」

自分の世界に入り込んでいた時、突然社長に呼ばれて無駄に慌ててしまう。

「有原さんって、笹川ちゃんと同じ大学だったの?」

「あっ、はい、そうです。同じ大学の先輩、後輩で……」

「ふうん。仲が良かったの?」

「えっ?」

「さっき、彼のことを勇斗って呼んでたし、有原さんも君のことを柚月って言ってたから」

「えっと、まあ……」

別にやましいことはしていないはずなのに、いつもと違っておちゃらけた様子もなく聞かれて、思わず声が上ずってしまう。


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