こじらせ社長のお気に入り
残っていた仕事を片付けて時計を見れば、勇斗達を見送ってから30分ほど経っていた。人を待たせていると思うと、自然と急いで片付けていく。

これから会社を出ることをメールして、席を立った。

「笹川さん。この後は有原さんと?」

「あっ、はい」

疑問形で聞いてくる副社長だけど、まさにその約束をさせられた場に、この人もいたはずだ。

「有原さんとは、学生時代の知り合いですか?」

「そうですけど」

「さっきの彼の様子だと……仲が良さそうですね」

「えっと……ええ、まあ。会うのは久しぶりなんですけどね」

「そうでしたか。積もる話もあるでしょうね。楽しんできてください」

「はい。お先に失礼します」

「お疲れさま」


今のやりとりは、なんだったんだろう……?

首を傾げつつ、そそくさとオフィスを後にすると、駅で待っているという、勇斗の元へ向かった。




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