こじらせ社長のお気に入り
「柚月はまだ、社会人1年目だろ。ここは先輩である俺の奢りだ」

先輩風を吹かせて押し切られ、今夜は勇斗が奢ってくれることになった。

「ごちそうさま」

「どういたしまして。柚月、今どの辺りに住んでるの?」

「ここから下り線で5駅行ったところだよ」

「意外と近くに住んでるんだな。俺は8駅行ったところだ。ちょうどよかった。遅いからマンションまで送ってく」

「大丈夫だって」

「ダメダメ。柚月はアルコールを飲むとすぐ寝るだろ?こんないい女が通りで寝てたら、襲ってくれって言ってるようなもんだ」

「もう。なに言ってるのよ。まずもって道端でなんて寝ないし、いい女だなんて言うのは勇斗だけだよ。認識おかしいから」

「ははは。まあ、とにかく送っていくよ」



自宅の最寄駅で一緒に電車を降りた。
ここから徒歩7分ほど。付き合わせるのも申し訳ないけど、今夜だけのことだと、勇斗の申し出を受け入れて、送ってもらうことにした。



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