こじらせ社長のお気に入り
それほど忙しくない時期だったのもあって、予定通り定時の17時半で仕事が片付いた。
中途半端な時間だから、明日の予定まで少しだけ手をつけておこうかと思った。けれど、駅で待ち合わせということは、ここから一緒に出る姿を見られたくないのかとかいろいろ考えてしまって、結局は定時で上がることにした。
外に出ると小雨が降っていた。でもそれも歩いている途中で止んできたから、手にしていた折り畳み傘をしまった。不快な季節だけど、雨が降っていないってだけで、すこしだけ心が軽くなる。
駅に入っている本屋で時間をつぶし、約束の5分前にロータリーの近くに向かうことにした。
てっきり社長も歩いてくると思って視線を巡らしていたら、目の前にさっと黒い車が入ってきた。
避けようとしたら、助手席側の窓が開いて、そこから社長が顔を見せた。
「笹川ちゃん、乗って」
「えっ?社長」
「早く」
なんだかわからないまま、急かされるまま乗り込んだ。
中途半端な時間だから、明日の予定まで少しだけ手をつけておこうかと思った。けれど、駅で待ち合わせということは、ここから一緒に出る姿を見られたくないのかとかいろいろ考えてしまって、結局は定時で上がることにした。
外に出ると小雨が降っていた。でもそれも歩いている途中で止んできたから、手にしていた折り畳み傘をしまった。不快な季節だけど、雨が降っていないってだけで、すこしだけ心が軽くなる。
駅に入っている本屋で時間をつぶし、約束の5分前にロータリーの近くに向かうことにした。
てっきり社長も歩いてくると思って視線を巡らしていたら、目の前にさっと黒い車が入ってきた。
避けようとしたら、助手席側の窓が開いて、そこから社長が顔を見せた。
「笹川ちゃん、乗って」
「えっ?社長」
「早く」
なんだかわからないまま、急かされるまま乗り込んだ。