こじらせ社長のお気に入り
えっと……
それはどう受け止めたらよいのだろうか?
なんだか、私は特別だと言われたようで、落ち着かなくなる。

一体、この後どんな話をされるというのだろうか?いつも思わせぶりだという、前科がありすぎる社長なだけに、どうかまえていいのかわからなくなる。


社長を目の前にして戸惑っていると、玄関のチャイムが鳴った。

「夕飯かな?」

そう言って立ち上がった社長は、次に戻ってきた時には、ピザの箱を抱えていた。かしこまった食事にならなさそうで、少しだけホッとした。

「笹川ちゃん、座って。飲み物はなにがいい?」

「お茶で」

「了解」

他人の家で勝手がわからないから、飲み物は社長にお任せするとして、届いたピザの箱を開けて用意をしておく。


「いただきます」

食事の間、社長は私をここへ連れてきた理由を一切話さなかった。その代わり、副社長の話をたくさん聞かせてくれた。

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