こじらせ社長のお気に入り
「ごめん。笹川ちゃん」

隣から抱きしめられているのに、私の心は冷えていくばかりだ。
〝ごめん〟の意味は、怖くて考えられない。

「ごめんだなんて、言わないでください。どうして……」

「好きすぎて、突き放せそうにないんだ。だから、ごめん」

好きすぎて……?

「自分の気持ちを伝えるだけで、満足しようと思っていたんだ。上司と部下として、線引きするつもりだったんだ。
でも、君を見ていたら、そんなの無理だってなってしまう。好きなんだ、笹川ちゃんのことが」

「じゃあ、なんで……」

そんなの、身勝手すぎる。
私の気持ちはどうなるっていうの……

「俺の話を、聞いてくれないか?」

そう真剣に見つめてくる社長を見て、答えを知りたい一心で静かに頷いた。









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