こじらせ社長のお気に入り
私が選んだ人
社長の過去の話を聞いて、正直なんて言えばいいのかわからなかった。
でも、ただ一つだけ、すぐに伝えたいことがあった。

「ごめんなさい」

少し大きすぎる声が出て、社長が驚いているのがわかる。

「私、社長のことをずっと勘違いしてました。女性に対して軽くて、いい加減で、そ、その……枕営業どころか、取っ替え引っ替えして遊んでいるって思ってました」

勢いよく頭を下げる私に、社長は苦笑をもらす。

「実際、そう思わせるような言動をしていた自覚が、十分すぎるほどある。けど、どうしても笹川ちゃんだけには事実を知ってもらいたかった。君のことが、たまらなく好きだから。勘違いされたままでは、自分が耐えきれなかった」

さっきから不意打ちで好意を伝えられる。こんな甘い顔で言われれば、嬉しい反面恥ずかしくて、赤くなった顔を隠すように俯いた。




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