こじらせ社長のお気に入り
「本当ですか?この男と付き合うことになったっていうのは」

チラリと社長を見やる。

「こいつにだけは知ってて欲しくて、昨夜話したんだ。そしたら、こうして早朝に呼び出されて、事情聴取されてる」

若干ふてくされ気味で言う社長はなんだか可愛くて、思わず口元が緩んでしまう。
ここは、社長の名誉のためにも言うべきかな。

「本当です。無理やりなことは、一切ありません」

「そうですか」

私の言葉に、副社長はホッとしたようだ。その表情には、社長に対するいろいろな思いが込められているのがわかる。

「やっとですね。私はもう……てっきりあなたは独身を貫き、独身を極め、独身のまま朽ち果てていくものだと思っていましたよ」

「おい、瑞樹!!言い方!!」

副社長の愛のムチがおかしくて、思わず吹き出しそうになっていると、社長が私のことまでジロリと見てくる。

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