こじらせ社長のお気に入り
「さあ、時間です。社長、恋愛にうつつを抜かしてないで、仕事はきちんとしてくださいよ」

けじめをつけるように、副社長の口調が完全に仕事用のものに切り替わる。

「あたりまえだ」

「笹川さん、朝からすみません。さあ、戻りましょう」

「ちょっと待て。笹川ちゃんの机は、ここに戻す」

「そう簡単に行ったり来たりされては、他の社員に示しがつきません。却下します」

「俺のモチベーションのためだ」

「公私混同です」

「……くそっ……」

「えっと……私も副社長の言い分に賛成です」

「さ、笹川ちゃん……」

半分演技がかっているものの、シュンとした目で見つめられればキュンとしてしまう。

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