こじらせ社長のお気に入り
12時ちょうどになると、待ってましたというような勢いで社長がドアを開けた。

「笹川ちゃん。お昼行くよ」

なんの遠慮もない大きな声で誘われ、周りの視線を一気に集めてしまう。
この男、隠すとかこっそりとか、そういう謙虚な姿勢を持ち合わせていないのか?


「えっ?社長。珍しいですね。笹川さんにダイレクトでいくなんて」

一人の声に、多くの人が「そうだ、そうだ」と頷いているのがわかる。


「おう。笹川ちゃんは近い将来、俺の嫁さんになってもらうからな」


…………は?



「えぇぇぇぇ…………!?」


一瞬の間をおいて、オフィス内が悲鳴やらなんやらに包まれて、確実に揺れたと思う。

なんてことを言ってくれるんだ……
付き合い始めたことすら内密にしたかったのに……





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